5月3日の読了

エスケープ・トレイン / 熊谷達也さん」読了。
ロードレースを扱った小説としては近藤史恵さんのサクリファイスシリーズがエンターテイメント小説として秀逸ですが、それに並ぶような面白い小説でした。

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熊谷さんご自身がサイクリストだからなのか、自転車を題材にした小説はこれが初めてのようですがレースや練習のシーン、心理描写を丁寧に描きつつ、全体の構成として話を進めるべきところでは端的に描くなど、その7~8割は淡々と距離が進むだけのロードレースを小説として表現されているうまさがあり一気に読みました。
読んでいる途中から主人公を 山本元喜選手(ご自身が自分のことを「普通の若者」と表現) と重ねて読んでしまう部分がありましたが、どうやら昨日読んだ「逃げ」を熊谷さんが週刊現代(2016年/11月)で取り上げられていたようなので、執筆するときに参考にされたのかもと思ってしまいます。
ちなみにこの本が出版される直前(2019年/1月)に地元仙台で立ち上がった実業団チーム(まずはE3から参戦)のGMにもなられたそうです。